InDesignで日本語組版を学ぶ実践サポート
今回は、InDesignを日常的に使用しているデザイナーの方からご相談いただいた、日本語組版に関するレッスン事例をご紹介します。
ご相談いただいた方は、普段から雑誌や冊子のレイアウト業務に携わっており、InDesignの基本操作には慣れていました。
しかし、禁則処理、約物の扱い、文字組みアキ量設定、段落スタイルと文字スタイルの使い分けなど、日本語の文字組みに関する細かなルールについては、あいまいなまま作業している部分があるとのことでした。
InDesignは、ただ文字や画像を配置するだけのソフトではありません。特に雑誌、書籍、パンフレット、カタログなどのページ物制作では、文字の読みやすさや誌面全体の整い方がとても重要になります。
そのため今回は、InDesignの操作方法だけでなく、日本語組版の考え方や、実際の制作現場で確認しておきたい設定を中心にレッスンを行いました。
InDesignに慣れていても文字組みで迷うことがあります
InDesignを使ってページを作ることはできても、文字組みの細かな設定まで自信を持って説明できる方は意外と少ないかもしれません。
特に日本語組版では、句読点、括弧、約物、英数字、見出し、本文、注釈など、さまざまな文字の組み合わせを自然に見せる必要があります。
よくある文字組みの悩み
InDesignで日本語の誌面を作っていると、次のような疑問が出てくることがあります。
- 行頭に句読点が来ないようにしたい
- 括弧の前後の空きが気になる
- 約物が続くときの詰まり方を調整したい
- 本文の字間が不自然に空いて見える
- 見出しと本文で文字組みの設定を変えたい
- 段落スタイルと文字スタイルの使い分けが分からない
- 編集部や出版社ごとの組版ルールに合わせたい
こうした問題は、見た目だけの調整で済ませようとすると、後から修正が大変になることがあります。
InDesignでは、段落設定、文字組みアキ量設定、禁則処理、段落スタイルなどを組み合わせて、文字組みのルールを管理することが大切です。
禁則処理とは
禁則処理とは、日本語の文章を読みやすくするために、行頭や行末に置くべきではない文字を調整するための仕組みです。
たとえば、句読点が行頭に来てしまうと、文章として不自然に見えることがあります。
そのような場合に、行の中で文字間を調整したり、文字を前の行に追い込んだり、次の行へ送ったりして、自然な改行になるように整えるのが禁則処理です。
禁則処理で調整される主なもの
禁則処理では、主に次のような文字の扱いを調整します。
- 句読点
- 閉じ括弧
- 始め括弧
- 中黒
- 小書き文字
- 音引き
- 記号類
InDesignには、日本語組版に対応した禁則処理の設定が用意されています。
通常の制作では初期設定のままでも大きな問題がない場合もありますが、出版社、編集部、制作会社ごとに細かなルールが決まっている場合は、そのルールに合わせて設定を確認する必要があります。
強い禁則・弱い禁則の考え方
InDesignでは、禁則処理の設定として「強い禁則」「弱い禁則」などを選ぶことがあります。
強い禁則は、禁則対象の文字をより厳密に制御する設定です。一方、弱い禁則は、ある程度自然な字間を保ちながら調整する設定として使われることがあります。
どちらが正しいというよりも、制作物の種類や組版ルールによって使い分けることが大切です。
たとえば、書籍、雑誌、カタログ、広告、Web掲載用PDFなどでは、求められる文字組みの印象が異なる場合があります。
約物の扱いと文字組みアキ量設定
日本語組版で特に分かりにくいのが、約物の扱いです。
約物とは、句読点、括弧、記号など、文章の中で補助的に使われる文字のことです。
文章の読みやすさや見た目の整い方は、約物の前後の空きによって大きく変わります。
約物の前後の空きが印象を左右します
たとえば、括弧の前後が広すぎると、文章が間延びして見えることがあります。
反対に、詰まりすぎていると、読みづらく感じることもあります。
InDesignでは、文字組みアキ量設定を使うことで、文字と文字の間隔を細かく調整できます。
特に、句読点、括弧、和文、欧文、数字などが混在する文章では、文字組みアキ量設定の影響が大きくなります。
文字組みアキ量設定とは
文字組みアキ量設定は、文字と文字が並んだときの間隔を決めるための設定です。
たとえば、読点の後に始め括弧が続く場合、和文と欧文が続く場合、数字と単位が並ぶ場合など、文字の組み合わせによって適切な空き方は変わります。
InDesignでは、あらかじめ用意された文字組み設定を選ぶこともできますし、必要に応じて独自の設定を作ることもできます。
ただし、文字組みアキ量設定は細かい項目が多く、むやみに変更するとかえって文字組みが崩れてしまうことがあります。
まずは基本の考え方を理解し、必要な部分だけを確認しながら調整することが大切です。
段落スタイルと文字スタイルの使い分け
今回のレッスンでは、段落スタイルと文字スタイルの使い分けについても確認しました。
InDesignでは、文字の見た目をその場で直接変更することもできますが、ページ数の多い制作物ではスタイルを使って管理する方が効率的です。
段落スタイルで管理するもの
段落スタイルは、段落全体の文字設定をまとめて管理する機能です。
主に次のような設定を管理できます。
- フォント
- 文字サイズ
- 行間
- 字送り
- 段落前後の余白
- インデント
- 揃え位置
- 禁則処理
- 文字組みアキ量設定
本文、見出し、リード文、キャプション、注釈など、役割ごとに段落スタイルを作っておくと、あとからまとめて調整しやすくなります。
文字スタイルで管理するもの
文字スタイルは、段落の一部だけに適用する文字設定を管理する機能です。
たとえば、本文中の一部だけを太字にしたい、色を変えたい、欧文だけ別の書体にしたいといった場合に使います。
- 一部の文字だけ太字にする
- 特定の単語だけ色を変える
- 欧文だけ別フォントにする
- 商品名や注釈だけ文字設定を変える
- 本文中の強調部分を統一する
段落スタイルと文字スタイルを正しく使い分けることで、修正しやすく、統一感のあるデータを作ることができます。
先割り進行での文字組みの考え方
元の事例では、雑誌制作などで使われる「先割り進行」の中で、文字組みに関する不安があるというご相談でした。
先割り進行とは、写真、見出し、本文量、レイアウト枠などを先に決めておき、デザイン作業と原稿作成を並行して進める制作方法です。
週刊誌や月刊誌のように、限られた時間の中で制作を進める現場では、このような進行方法が使われることがあります。
ダミーテキストから本番原稿へ差し替える場合
先割り進行では、デザイン作業の段階では本番原稿がまだ入っていないことがあります。
そのため、仮のダミーテキストでレイアウトを組み、本番原稿が届いてから差し替える流れになります。
このとき、文字組みのルールが整っていないと、本番原稿に差し替えた段階で、改行位置、行末処理、約物の空き、本文の流れなどに違和感が出ることがあります。
そのため、ダミーテキストの段階から、本文スタイルや禁則処理、文字組み設定をある程度整えておくことが大切です。
後工程を意識したデータ作り
雑誌や冊子制作では、デザイナーが作ったデータを、編集者、ライター、DTPオペレーター、印刷会社など、複数の人が扱うことがあります。
そのため、自分だけが分かる作り方ではなく、後から他の人が修正しやすいデータにしておくことが重要です。
- 段落スタイルを分かりやすく設定する
- 直接指定を増やしすぎない
- 本文や見出しのルールを統一する
- 文字組み設定を確認しておく
- 本番原稿への差し替えを想定する
こうした意識を持ってデータを作ることで、後工程での修正や確認がスムーズになります。
日本語組版は「なんとなく」から一歩進めると見え方が変わります
日本語組版は、最初は難しく感じるかもしれません。
禁則処理、約物、文字組みアキ量設定、ぶら下がり、コンポーザー、段落スタイルなど、聞き慣れない用語も多くあります。
しかし、すべてを一度に理解する必要はありません。
まずは、普段の作業でよく出てくる問題から確認していくと、InDesignでの文字組みが少しずつ分かりやすくなります。
最初に確認したいポイント
日本語組版を学ぶときは、まず次のようなポイントから確認すると実務に役立ちます。
- 本文に適した段落スタイルを作る
- 禁則処理の基本を理解する
- 約物の前後の空きを確認する
- 見出しと本文の文字組みを分けて考える
- 本番原稿に差し替えたときの流れを確認する
- 直接指定を減らしてスタイルで管理する
細かい設定を理解することで、文字が詰まりすぎる、空きすぎる、行末が不自然になるといった問題に気づきやすくなります。
アースト ITマンツーマンでできること
アースト ITマンツーマンは、パソコンやスマートフォン、タブレットの使い方を学ぶ、マンツーマン・スタイルのリモートレッスンサービスです。
InDesign、Illustrator、PhotoshopなどのAdobeソフトについても、実際の画面を見ながら、目的に合わせて必要なところから学べます。
InDesignの日本語組版レッスンで対応できる内容
- InDesignの基本操作
- 日本語組版の基本
- 禁則処理の考え方
- 約物の扱い
- 文字組みアキ量設定
- 段落スタイルの作成
- 文字スタイルの使い分け
- 先割り進行を意識したデータ作り
- 雑誌・冊子・カタログ制作での文字組み確認
- PDF書き出しや入稿前チェック
初心者の方には基本操作から、実務でInDesignを使っている方には現在の制作物に合わせた実践的な内容でサポートできます。
まとめ
InDesignを使っていても、日本語組版の細かなルールまでは自信がないという方は少なくありません。
禁則処理、約物の扱い、文字組みアキ量設定、段落スタイルなどを理解すると、本文の読みやすさや誌面全体の印象を整えやすくなります。
特に、雑誌、冊子、カタログ、書籍などのページ物制作では、文字組みの設定が後工程の作業効率にも関わります。
InDesignで日本語組版を学びたい方、文字組みに自信を持って作業したい方は、アースト ITマンツーマンへお気軽にご相談ください。


